こころの病気を治すために「本当」に大切なこと Medical Publisher ウェブサイトへ

特徴

もし、あなたが、またはあなたの家族が精神科への入院を勧められたらどう思いますか?

精神科病棟に対するイメージから、多くの人が入院をためらうことでしょう。

しかし、入院治療のメリット、そもそも、入院してからの治療内容や病棟での生活についての正しい知識は、一般の人にはほとんど知られていないのではないでしょうか。

「まえがき」より
―― 入院することで、通院時よりも治療の選択肢が広くなり、細かいケアが可能になるので、患者さんにより的確で安全な治療が提供できるということです。これは治療する側、治療を受ける側、双方にとってプラスになることです。―― (中略) ――もし患者さんが自分の病気と正面から向き合う覚悟ができれば――それが早ければ早いほど、治療はスムーズに進むのです ――

本書では、ほとんど知られていない精神科入院の基本的なことから、通院と入院の違い、入院が治療上有効的な「治療モデル」も紹介しています。

そして、本書のもうひとつの大きなテーマである「治療共同体」。
近年、非定型うつや双極性うつ病など、難治性のうつ病が話題となっていますが、その主な治療法は対症療法であり、対人関係の問題や人生への向き合い方など、時間をかけて治療しなくてはならない根本的な問題への視点が抜け落ちています。
「治療共同体」とは、人と人とのかかわりを通じて、自分自身の“問題”に気づくことを目的とした集団療法です。コミュニティ療法とも呼ばれます。
本書では、この治療共同体について詳しく解説していきます。その中で、病棟を「治療の枠」として活用した入院の考え方など、少々専門的な内容にも触れています。

最後に、「患者アンケート」の患者さんの声を。
「自分と比べていろいろ考えられた」
「自分だけじゃないということがわかった」
「ほかの患者の治療への取り組みに励まされた」
「入院初期にほかの患者の行動範囲や治療への取り組みを知って、自分の治療の目安とすることができた」

本書は精神科の治療から入院まで、その正しい知識と効果を網羅した貴重な一冊です。

〔参考〕内閣府「治療共同体」資料(pdf)

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目次

まえがき 精神科への入院は怖い?

PART 1 精神科とはどんなところなのか

精神科、心療内科、メンタルヘルス科の違いとは
精神科とはどういうところか
精神科での診察の様子
なぜ病院を転々としてしまうのか
病気で本当に困っているのは誰か
人生相談も治療のうち
本人が「治したい」と思わなければ治療は難しい
患者さんや家族の肉声こそが「生きた教科書」

PART 2 精神疾患について、もう少し深く知る

検査で診断できる精神疾患とは
診断が難しい精神疾患とは
ハード(脳)とソフト(心理)で考える
精神科における健康と病気の線引きとは
病気のパターンは無限にあるわけではない
症状から病気のパターンを推測する
操作的診断と見立て

PART 3 なぜこころを病んでしまうのか(神経症について)

人は誰もが神経症的存在である
幼少期に性的虐待を受けた女性はどうなるか
神経症は時代や社会によって変化する
トラウマとは何か
神経症とは何か
「自分」はどのように形成されるのか
治療の対象となる神経症、ならない神経症
アダルト・チルドレン
パーソナリティ障害
統合失調症と間違えられる神経症の症状
うつ病と間違えられやすい抑うつ神経症

PART 4 精神科病棟への入院

入院のタイミング
閉鎖病棟と開放病棟について
隔離、拘束について
措置入院
医療保護入院
任意入院
任意入院か医療保護入院か
退院について

PART 5 精神科病棟ではどのような治療が行われるのか

精神科入院の流れ
精神科専門の医療スタッフ
薬物療法
精神科の薬(向精神薬)の特徴
新しいタイプの抗うつ薬
うつ病のタイプと薬の効果
診断が難しい双極性障害
抗精神病薬には依存性がない
依存性のある精神安定剤には要注意
気分障害によく効く電気けいれん療法
作業療法
精神療法
退院後のこと

PART 6 自分を変える転機としての入院治療と治療の枠

薬だけではなぜ治らないのか
過剰適応の子どもの脱皮を手伝う
自分を変える転機としての入院治療
「治療の枠」とは
問題行動の多い若い男性患者さん
あらゆるものを「治療の枠」として利用する

PART 7 コミュニティの力を活かす治療共同体という考え方

精神科医の私が台湾で文化人類学を学んだわけ
コミュニティにおける共感の条件―「超越性」と「内在性」
コミュニティの力と精神医療
治療共同体の始まり
人と人との交流を治療に活かす
人と人との交流から生まれる「治療文化」
治療文化が治療の枠を補強する
治療文化、治療共同体、地域社会

PART 8 日本にもある治療共同体の舞台裏

治療共同体における各種ミーティング
ミーティングとチーム医療
病棟機能分化
病棟内機能分化という発想
集団のサイズで変化する治療の枠組み
病棟内コミュニケーションの重要性

PART 9 都市型精神科一般病棟へのミーティング導入

ゼロから治療共同体を作る
新患ミーティングの3つの意図
新患ミーティングの様子
患者さんの感想
新患ミーティングでのやりとり
スタッフの意識が変わった
お金の問題を解決する
治療共同体の可能性

PART 10 精神科医療に対する素朴な疑問

Q1 薬ではなく、カウンセリングで治してほしいのですが?
Q2 医師が本人の話をきちんと聞いてくれないのですが?
Q3 漢方薬はないのでしょうか?
Q4 診察時間が短いのでは?
Q5 精神科を受診したことは会社や家族にばれないですか?
Q6 薬を止めることはできますか?
Q7 精神科病棟へ入院する際に、確認しておくことは?
Q8 本人が、精神科への受診や入院を望まない場合は?
Q9 患者さんのわがままやなまけぐせに困っている?
Q10「治療共同体」による治療が向いている場合とは?
Q11治療共同体や集団精神療法を取り入れた病院の探し方は?
Q12認知症患者さんの入院については?
Q13治療共同体の具体的なイメージとは?

あとがき わかりづらい専門用語の表記をめぐって

参考 治療モデル
認知症の男性を抱える家族
子どもの進路で困っている家族
アルコール依存症の夫を持つ妻
幻聴が聞こえる若い女性
妄想性障害の初老の女性
幼少期に性的虐待を受けた女性
赤面恐怖症の男性
アダルト・チルドレン
解離性同一性障害の若い女性
入院を拒絶する家族
「退院したい」と言い出す患者さん
真面目な主婦
摂食障害の高校生
わがままに育てられた若い男性
チャンネル争いで怒鳴る初老の男性
自傷行為を繰り返す若い女性
新患ミーティングに参加した患者さん
20年間入退院を繰り返した統合失調症の男性

 

著者プロフィール

青木 崇
1970年川崎生まれ。1996年京都大学医学部医学科卒。
京都第一赤十字病院研修医、富田病院(函館)常勤医師を経て、2005年国立清華大学人類学研究所(台湾・新竹)卒(人類学修士)。帰国後、のぞえ総合心療病院(久留米)副医局長を経て、2009年から関東の民間病院で病棟医長を務めている。精神科医、精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医。

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